「勝負砂(しょうぶざこ)古墳」
<直島散策>報告記

吉備真備ゆかりの地、「町内循環バス待合所前」で一同勢揃い      
◎日  時:平成19年5月11日(金)
◎目的地:倉敷市真備町下二万「勝負砂(しょうぶざこ)古墳」
       (岡大考古学研究室が発掘中の未盗掘の前方後円墳〜5世紀後半〜)
◎参加者:14名(芦原、井垣、石見くにえ、榎本、亀山、菅田、篠原、妹尾、谷本
           藤田、平松、星島、水川、松田 以上、50音順)
道中、妹尾さんから説明を受ける  目的地近くの坂道を歩く
岡大考古学研・松井準教授の真摯な解説 二万大塚古墳頂上で弁当ひろげる
 前日、全国を吹き荒れた強風はどこえやら、朝から穏やかな快晴。
途中乗車、現地集合組を除く10名が、岡山駅JR伯備線ホームに集まり、定刻の
10:08出発進行! 庭瀬で井垣さん、倉敷で平松さん乗車。清音駅で井原線に
乗り換え、隣の川辺宿駅にて下車。
現地集合組の妹尾さん、水川さんと合流。川辺宿駅前から「歩こう会」の歩き始めです。
道すがら、真備町出身の妹尾さんから、真備町の前身、幕藩時代の旧岡田藩の存在や
それ以前の吉備真備の足跡、遠くは古墳時代の遺跡の数々についてレクチャー。
水川さんからは、真備町を流れる1級河川の「小田川」に、何と「しじみ」が戻ってきたという
報告があったりと、古墳見学の前哨戦にふさわしいアカデミック(?)な雰囲気のもとに、
目的地へと歩を進めました。 
勝負砂古墳外観と、地道に進められる発掘調査現場
画面にマウスポインターを近づけると写真が変わります 
 やがて目的の「勝負砂古墳」へ到着。早速、古墳発掘現場のブルーシートをくぐり、
単なる野次馬集団に過ぎないが、しばし見学をさせて欲しい旨要請。快く応じていただき、
7名づつ2班に分かれて、発掘責任者の岡大考古学研究室の松木武彦準教授から直々に
懇切丁寧な解説をしていただきました。質問にも答えていただき、2班の見学が終わると、
わざわざ現場の入り口まで出向いて見送ってくださるという、終始真摯な態度に一同感激。
 もちろん、発掘が大いなる成果を挙げられるよう、お礼を述べてお別れしたのは言うまでも
ありません。
吉備真備駅までの途中、堤防の土手をのぼる    ティータイム
 目的の古墳見学を終え、「さア、次は腹ごしらえ」です。勝負砂古墳の周辺はどの丘陵も、
古墳然とした形容を保っています。事実、この二万の谷と呼ばれる地域は、「天智天皇摂政の
おり、百済滅亡の戦乱に二万の軍士を徴し得たと伝承される地であると、備中風土記逸文に
記されている」(岡山文庫・間壁忠彦・葭子共著「岡山の遺跡めぐり」)。
 その、二万の谷にある「二万大塚古墳」(6世紀)まで歩き、古墳頂上の林間に腰を下ろし
それぞれ弁当を開きました。
 計画段階では、ここから井原線・吉備真備駅まで町内循環バスを利用することにしていたの
ですが、バスの時間まで間があり過ぎることと、「折角歩こう会なのだから」という声が大勢を
占め、田植え前の畦道を歩き、小川を飛び越え、堤防の土手を登り、およそ2キロの道のりを
ひたすら歩きました。
吉備真備駅近くの老人センターの1階に喫茶ルームを見つけ(もちろん、妹尾、水川さん下見
済み)、ゆっくりと休憩時間をとりました。
「吉備真備公園」
画面にマウスポインターを近づけると写真が変わります 
 この日、旧真備町最後の目的地は「吉備真備公園」です。
15分少々の道のりでしたが、全員よく歩きました。
吉備真備は、「遡れば下道(しもつみち)国造(くにのみやつこ)の下道氏を先祖に持ち
二度にわたる遣唐使(最初は留学生)として多くの功績を残し、中央宮廷で右大臣にまで
のぼり詰めた」(谷口澄夫著「岡山県の歴史」・山川出版より)とされる、郷土の偉人です。
その威徳をしのびながら、公園内をしばし散策。
さア、ここから再び吉備真備駅まで、この日最後の歩きです。
同駅14:52発清音行き列車にぎりぎり間に合いました。
最終岡山駅着15:26.  参加のみなさん、お疲れ様でした。
おしまいに、今回の計画・実施にあたり、何回か下見をし、幹事に対し適切なご助言を
いただいた妹尾さん、水川さんのお二人に、参加者一同より感謝申し上げます。
                     (文責:歩こう会幹事 松田通男)
                       <写真提供:松田、亀山>

              (続)<報告記>
 今回の「歩こう会」の報告のなかで、もう一つ、どうしても付け加えて
おきたいことがありました。
それは、旧真備町の人たちの心根と言えばいいでしょうか。
町で出会う人たち、大人も子供も、とりわけ学校帰りの小学生たち
高校生たちの誰もが、気持ちよく挨拶をしてくれたことです。
「こんにちは!」というその一言が、教えられて言わされていると言う
のではなく、自然に口をついて出てくるという感じなのです。
ある高校の運動場のそばを駅に向かって歩いていたとき、グランドに
いた高校生たちが、金網越しに私達一行を見て、一斉に
「こんにちは!」と挨拶をしてくれました。
黙って、自分達のことに集中していても不思議ではない状況であった
にも拘わらず、外の道を歩いている見知らぬ大人に対してしっかり
挨拶をする。
近頃の、殺伐な世情にうんざりしている身にとって、これは新鮮で、逆に
衝撃的な出来事でした。
もちろん、全員大きな声で「こんにちは!」と返したことは言うまでもあり
ません。(松田)