新しい世紀に輝きを求めて

 〜オーロラ体験記〜     2001.1.21〜  RSK・OB 坂川 弘祐

 関空を1月21日午後6時に出発して9時間、カナダのヴァンクーバーにはその日の午前10時に到着する。市内を一巡りしてまたまたその日の午後6時に飛行機に乗って、エドモントン経由目的地イエローナイフへ着いたのは夜の10時半を回っていた。
 空港とは名ばかりの建物から車へ乗り込むとき、さすがに北緯62度の厳しい寒さに見舞われました。宿について旅装を解く間もなく防寒服(耐寒−70℃と言う)を着けて、車で40分程の観測点へ、休憩所で暫く休んで居ましたが素人目にも、あたりはどんよりと曇っているのが分かります、今日は見えないか! まあ展望台の下見でもするかと200b程先の丘の上に来たとき、案内人の
「あれがオーロラです」の声に指す方を見上げると天の川の親分みたいのがボーと光っている「何だオーロラってこんなものだったのか!」 事実その時は全く感激は無く、失望に近いものだった。
ネイティブ・インディアンの住居ティーピー(テント)の前で服装は現地で借りた摂氏−70度に耐えると言う防寒服と靴です 靴と中身を除いて、イヌイットの正装です男性は左に帯を垂らして、女性は右に垂らすそうです

 とその時、午前2時少し前だった−30℃以下の刺すような風が吹いたと思うと、頭上には満天に輝く無数の星と共に白色に青や緑を滲ませた巨大なカーテンが幾重にも垂れ下がっているではないか、そしてその光は夜空いっぱいに、我々を圧倒するように頭上に迫りながら、人智の及ばぬ不思議な旋律で踊り、揺らめきながら刻々と変化し、渦や炎のように様々な形を作っていきます。
「ワー」「ウオー」意味のない声を発しながら、為すすべもなく、ただ見上げるばかり、やっと我に返りカメラを取り出したものの、極寒と暗がりで三脚にセットして1枚(30秒露出)撮るのがヤッとの有様、アッと云う間に終わった小1時間のスペクタクルでした。
こ れ が オ ー ロ ラ だ
北緯62度のイエローナイフ郊外、午前2時半、気温摂氏−33度の環境で私が撮影に成功した唯一の写真ですオーロラの中や周辺にある白点はお星様です
 翌日は緑に光る雲のようなオーロラを10分程観測のみ、その後再び巨大なカーテンを見ることありませんでした、全て「天の川の親分」そう雲の上のオーロラばかりでした。
 イエローナイフではオーロラ観測は3月末頃までが見頃だそうです。

 3日目にはカリブー(北米トナカイ)の群を求めて、雪の原野をさらに北へ約200q、セスナで小1時間ほど行く、無数の凍てつく湖の一つに点々と黒いものがある、パイロットの手まね
イエロナイフからさらに北へ200Km程でカリブー(北米トナカイ)を発見、150頭程の一番大きな群れのそばに着陸(後方はカリブー)
でカリブーと分かる、近付くと10頭から100頭余りの群が5つほど見える、その中の一番大きな群に向かって着陸する、カリブー達は100b程の距離を置いて我々を取り巻き、一斉にジッとこちらを眺めている様子は誠に可愛らしい表情です、中には子連れもいます、こちらが5・6b程走る真似をすると、皆一斉に走り出しますがそのさまは実にリズミカルで美しく風のような早さです。苔や木の皮を食べるそうですが、こんなに寒いところでどうやって生きているのだろうか不思議な思いです、この辺りの積雪は約30a、立木は4・5b程で大きな木は育っていません、空は紅と紺の光が不思議な美しさを見せ雲の形も独特な姿を見せてくれました。
 帰路にトロントへ寄り、寂とした雰囲気の中で、凍てつくナイアガラの眺めも乙なものでした。
 しかし、イエローナイフでの経験は私の生涯で大きなメモリーになりました。