ボ ル ネ オ 島 (マレーシア)

 〜キナバル山登山記〜     2003.8  RSK・OB 坂川 弘祐

 
今年の初め頃、動物や植物の種類が最も豊富だと言われるこの島を是非尋ねてみたいと、ボランティアをやっている岡山市の操山・里山センターで何気なく話したことから、10月のヒマラヤ遠征のトレーニングにもなるし、ついでにキナバル山(4,095m)に登ろうや、と相成った次第です
日本の富士山がゴミ故にダメだった「世界遺産」、マレーシアで最初に世界遺産に指定されたキナバルパークとは一体どんな魅力のあるところなのだろうか、写真や書物で見るだけではなく自分の目で見たい!実際に体験したい!

8月の中旬、赤道に程近いボルネオ島のコタキナバルへ里山センターのボランティア仲間一行4名が到着しました、目的はキナバル山の登山と自然観察、公園(世界遺産)の様子を見学しようというものです
コタキナバルの町に1泊して翌日、車でキナバル登山口へと向かう、山道の小屋では一家10人総出で果物を売っていた、ドリアン1個を買ったら180円を150円(換算)にしてくれ、さらにランプータンという果物を沢山くれました、全て自分とこの庭で採れたものだそうです・・・・安さ納得
この日は登山口近くのクンダサンと言う村の宿に泊まる、この村には不釣り合いな程大きな野菜市場があった、聞けばコタキナバルは勿論ボルネオ島の東側サンダカンからも野菜の買い付けに来るという、この辺り一帯の野菜の集散地となっているようだ
キナバルパークの入山は勿論有料で、シーズンにより入山者の数も制限されているようです、動植物の採取禁止は至る所に張り出されています 又ゴミの持ち帰りも呼びかけていますが各シェルター(あずまや風の簡単な休憩所)には可成りの数のゴミ箱が設置されています、水とトイレも設置されています、水は飲用と言うことですが旅行者としての健康管理上一応敬遠し、持参のペットボトルを愛用する、トイレは簡単な水洗で綺麗なのですが汚水処理については広大な自然に頼っているようです
安全管理についてはかなり気を配っています、山岳ガイドの同行と、各人は入山証を首から下げることを義務付け、各チェックポイントで登下山時の確認を行っており、登山道もよく整備されていますがやたらと階段が多く閉口しました、また山頂付近の岩盤地帯には白いロープを張り荒天時の目印を確保しています
私達の山岳ガイドは植物に詳しく、登り下りの道中植物の名前を教えてくれるのですが、とても多くて覚えきれるものではありません、殆どが野生の蘭と石楠花でした、蘭は野生のためか花そのものは小さいものが多く色・形は様々で可愛らしく素敵です、デンドロリュームの原種だと言うのもありました、石楠花の花は大小さまざまで、いろいろな種類があり、色や数も豊富で、森を彩っていました
登るほどに眺望が開けごつごつした岩のキナバル山も眼前に迫ってきます、しかし私の日頃の不摂生がたたって、標高3000m手前のラヤンラヤンと言う昼食ポイントで早くも酸欠状態(高山病)になり、予定より30分遅く15時半頃ラバンラタン小屋に到着しました、ここは森林限界線に近く、景色も素晴らしいものです、目の前に広がる雲海、背後には圧倒的な岩塊のキナバルがそびえていました、小屋の中は各国の若者達でごった返しています、高山病のため私は全く食欲は無いのですが、夕食を無理矢理おなかに押し込んで、午後6時にはこれも無理矢理就寝したのでした
翌早朝2時に起きてヘッドランプの明かりを頼りに頂上を目指し出発、矢張りめまいが激しい、通常3時間のコースを5時間かけて頂上にたどりついたと言う有様でした、従って小屋へ戻っての朝食は10時、下山後の昼食は15時半と言う事になった次第です
下山の途中で寄った私の好きなネペンテス「うつぼかずら」の群生地にはビックリさせられました、壷(虫嚢)が空中にあるもの地上にあるもの、細長いものずんぐりしたもの、色も大きさも様々ですが、そこここにある、その数の多いことこれでは虫達もたまったものではないなと思えるほどです、初めて見る自生のネペン・・・栽培されたものとはまた違った雰囲気を感じさせるものでした、これほど多くの原種植物を見るのは生まれて初めて、正に興奮の連続でした
下山した翌日は日曜日、早速日曜朝市へ繰り出しボルネオの生活習慣にとっぷりと浸かり十二分に味わったのでした
                                  (坂川)