大正枯れすすきの東北二人旅 木 村 茂(RSK OB)
昨年の安田さんの東北縦断旅に触発されて、長年の懸案だった行き当たりばったりの旅をしてきました。年齢をも考えず、息子や娘の心配をよそに、1500ccのサニーに、地図と暑寒の衣類をしっかり積み込んで・・・
9月24日
出発が昼前になったため、北陸自動車道の尼御前SAで、図らずも、美しい夕日を眺める事が出来,幸先良いスタート。
9月25日
寺泊を通り新潟へ。日本海タワーから市街を展望した後、新潟港に向かう。ここは、昭和19年3月当時の満州へ向けて出航した港。それが、丁度 小雨降る日暮れ時であった事など思い出されて、しばし感慨にふける。
9月26日
酒田の観光は、最上川から始めて,山居倉庫(欅並木に囲まれた12棟の倉庫群 庄内米の集積地)、本間家旧本邸、本間美術館と別邸庭園など回ったあと、夕日の名所 北緯40度に位置する、男鹿半島の先端 入道崎へ急ぐ。 少々道に迷いながらも滑り込みセーフ。でも、もっと長いレンズが欲しかった。本日快晴雲一つなし。
山居倉庫裏手の欅並木(酒田)
男鹿半島入道崎の夕日
9月27日
男鹿温泉を出発して八望台に登る。日本では珍しいマールと呼ばれる爆裂火口湖を眺めてから、秋田30景の第一と言われる西海岸を走る。この半島で一番高い寒風山(355m)には、回転展望台があって、八郎潟干拓地など一望できる。
男鹿半島 寒風山からの展望
9月28日
角館は、古い家並みがよく保存されていて、歴史の重みを感じさせてくれる街である。青柳家、石黒家など、格式高い武家屋敷や資料館と見所が多い。樺細工伝承館では、樺細工の実演も見られる。 ここでは、偶然にも、備前焼の特別展が開かれていたとは驚きであった。近くにある田沢湖は、最大深度423mと日本一を誇り、エメラルド色の湖水が美しい。周囲20kmを一周して八幡平へ急ぐ。
巨木の向うに田沢湖の美しい湖水が
八幡平は、夕方になったが、カーブを回るたびに 雄大な眺望が新たまり、感動の連続であった。さすがに、安田先輩のお勧めだけのことはあると感謝。
八幡平の斜陽
9月29日
十和田ICから十和田湖へ至るてまえに、薄荷峠の展望台。湖畔を左へ少し回ったところに、瞰湖台展望台があって、いずれも眺望絶佳である。
さらに進むと、奥入瀬渓流に入る。絵葉書のような景観が随所に見られ、しばしば車を止めてシャッターを切る。観光センターで一息ついて、八甲田山を目指す。道沿いに じごく沼と言う沼があり、盛んに湯煙を上げている。有名な雪中行軍遭難記念碑に冥福を祈って、ようやく青森へ下る。
奥入瀬の渓流
9月30日
弘前城址を散策する。 建物としては櫓一つ残すのみだが、5000本あると言う桜の大木は圧巻である。 長く厳しい冬を耐え抜いて、桜の開花を待ち望む東北人の気持が伝わってくる様であった。 続いて、五重塔のある最勝院に詣で、アップルロードを抜けて、大鰐弘前ICから平泉を目指す。
10月1日
前夜からの雨が少し残る中、中尊寺参拝。金色堂をはじめ、多くの堂塔を巡りながら、平泉藤原文化に圧倒される。 この後、毛越寺にお参りして松島へ。
10月2日
松島観光は、ホテルの前にあった伊達政宗歴史館からスタートし、五大堂、瑞巌寺と回る。伊達家の菩提寺は、さすがに迫力十分である。海辺の小高い所に文化財観らん亭があって、美しい眺めを楽しみながら、お茶を一服戴き、小休止。この日は、仙台市内を素通りして天童へ向かう。
10月3日
天童は、将棋駒の産地として有名である。旅の記念にと、大枚をはたく。
一走りすると、山寺立石寺に至る。有名な奥の院へは、1100段の石段が待っている。
ここは、今回の旅のメインにしていたので、躊躇することなく挑戦したが、しまいには、さすがに膝がガクガクになった。 名物の山菜そばで元気をとりもどし、喜多方ラーメンの看板は見ない事にして、会津若松へと南下する。
10月4日
朝一番に猪苗代湖へ。あと、裏磐梯五色沼を散策、桧原湖なる湖を一周して、飯盛山の白虎隊士の墓に詣でる。山下に 滝沢御本陣と呼ばれる旧宅があったので拝観を申し出る。受付で記帳すると、女の人から、息子がクラレに勤めて、倉敷に住んでいると聞かされた。
10月5日
ここで、予定を延長して日光へ足を伸ばす。輪王寺、東照宮、二荒山神社、大猷院に、宝物館と 4時間半もかけて結構な身分になったところで、いろは坂を経て華厳の滝、中禅寺湖から、金精峠を越え沼田へ出る。
10月6日 中山道を旧軽井沢に向かい、旧三笠ホテル、白糸の滝と見て、浅間山の鬼押出し まで走る。 近くの北軽井沢は、昭和20年8月15日 終戦を迎えた思い出の地であり、当時の鬼押出し迄歩いた記憶が蘇って懐かしい。再び、中山道へ取って返し小諸城址を訪ねる。さらに、上田へと走る道沿いの小さいホテルに、「空室あり」の看板を見つけて引き返す。チェックインすると、そこの女性の曰く、「お客様は、岡山市可知三丁目ですか?私の友達が可知五丁目に住んでいて、今年も、美味しい桃をおくってくれました」と。 ホテル代はバッチリ取られたけれども,見ず知らずの土地にも、岡山に縁のある人がいるものと感心する事しきり。
10月7日
旅の終わりは善光寺参りとなる。当日は、日曜日とあって大変な渋滞で、一寸刻みの牛歩には大閉口。それでも、戒壇巡りまで一通りの参拝を終えて帰路につく。白馬村小谷村と通って糸魚川まで。
10月8日
550kmを走り、浦島太郎のような心境で無事帰宅。こんな旅、また癖になりそうだ。因みに、今回15日間の全走行距離は、3600km、諸経費は48万円の二人旅でした。
平成13年10月 RSK・OB 木村 茂